2026.02.18

歯周病初期治療の要:歯肉縁上歯石除去で歯を守る ~早期発見・早期治療が大切な理由~

目次

歯周病とは?
国民病とも言われる理由

1.歯周病とは?国民病とも言われる理由

歯周病は、歯垢(プラーク)に含まれる細菌によって引き起こされる病気です。歯を支える歯肉や骨が徐々に破壊されていく病気で、日本人が歯を失う原因の第1位となっています。

歯を抜くに至った原因

歯を抜くに至った原因
(永久歯の抜歯原因調査:財団法人8020推進財団,平成30年)

厚生労働省の調査によると、45歳以上の約半数が歯周病にかかっており、まさに「国民病」と呼ばれる状態です。

進行した歯周病を有する者(4㎜以上の歯周ポケットを有する者)の割合


(歯科疾患実態調査,平成28年から5周年期)

こんなに拡がっている病気なのにみんなが気付かずにいるのはなぜでしょうか?
その理由は歯周病の進行段階にあります。

歯周病の進行段階

  1. 歯肉炎歯茎の腫れや出血がみられる初期段階。ほとんど自覚症状はない。
  2. 軽度歯周炎歯周ポケットが3〜4mmに。まだ自覚症状はあってもわずか。
  3. 中等度歯周炎歯周ポケットが5〜6mmとなり骨の吸収が始まる。硬いものを咬んだ時に痛みが出てくるのも大体この段階。
  4. 重度歯周炎歯周ポケットが7mm以上、歯がぐらつく。歯肉が腫れて痛い、咬めないなどの症状が出てきます。治癒は困難となり初期段階では自覚症状が少ないため、気づいたときにはかなり進行していることも珍しくありません。だからこそ、早期発見・早期治療が非常に重要なのです。

歯石の種類と特徴を理解する

2.歯石の種類と特徴を理解する

歯石には大きく分けて2種類あります。それぞれの特徴を理解することが、適切な治療を受ける第一歩です。

実際の症例写真

2.歯石の種類と特徴を理解する

こちらの写真をご覧ください。これは歯周病によって抜歯に至ってしまった歯になります。

ザラザラにこびりついているのが歯石です。歯の頭の方についている歯石を縁上歯石、歯の根っこの方についている歯石を縁下歯石といいます。

歯肉縁上歯石(しにくえんじょうしせき)

場所 歯肉より上の見える部分
黄白色〜灰白色
硬さ 比較的柔らかい
成分 唾液中のカルシウムとプラークが石灰化
付着しやすい場所 下の前歯の裏側、上の奥歯の頬側(唾液腺の近く)
形成速度 早い(約2日でプラークが歯石化)
除去方法 スケーリングで比較的容易に除去可能

歯肉縁下歯石(しにくえんかしせき)

場所 歯周ポケット内の見えない部分、歯肉の中に隠れた部分
黒褐色〜暗褐色
硬さ 非常に硬い
成分 歯肉からの滲出液や血液成分を含む
形成速度 遅いが固着力が非常に強い
除去方法 SRP(スケーリング・ルートプレーニング)や外科処置が必要
危険性 歯周病の主な原因

歯石そのものは石灰化した細菌の死骸で毒性はありません。しかし、表面がザラザラしているため、その上に新たなプラークが付着しやすくなり、細菌が住み着く温床となってしまいます。

そのため、お口の中の細菌の数を減らす、細菌の悪性化を防ぐという目的のために歯石の除去が必要となるのです。

歯肉縁上歯石除去
(スケーリング)とは

3.歯肉縁上歯石除去(スケーリング)とは

スケーリングとは、専用の器具を使って歯の表面に付着した歯石を除去する処置です。歯周病治療の基本中の基本となる重要な処置です。

使用する器具

1.手用スケーラー

1.手用スケーラー
  • 手作業で細かい部分の歯石を丁寧に除去
  • 歯と歯の間など細かい箇所に有効

2.超音波スケーラー

2.超音波スケーラー
  • 超音波振動で歯石を砕いて除去
  • 水を出しながら洗浄
  • 効率的に広範囲の歯石を除去可能

3.エアスケーラー

3.エアスケーラー
  • 空気圧で作動
  • 微細な振動で歯石を除去

これらの器具を組み合わせて使用することで、効果的かつ効率的に歯に優しい歯石除去が可能となります。

処置時間

  • 30〜60分程度
  • 歯石の量により複数回に分けることもあります

歯肉縁上歯石除去の
効果と重要性

4.歯肉縁上歯石除去の効果と重要性

歯肉縁上歯石を除去することで、以下のような効果が期待できます。

即効性のある効果

  • 歯肉の炎症が軽減される
  • 歯肉からの出血が減少する
  • 口臭が改善される
  • 歯の表面が滑らかになる

中長期的な効果

  • 歯肉が引き締まり、健康的なピンク色に戻る
  • 歯周ポケットが浅くなる
  • 歯周病の進行を食い止める
  • 将来的な歯の喪失リスクを大幅に減少

軽度の歯周病であれば、正しいブラッシングと歯石除去だけで、2週間程度で歯肉の状態が劇的に改善することも珍しくありません。

歯石除去が重要な理由

プラークの付着予防

歯石の表面はザラザラしており、そこにプラークが付着しやすくなります。歯石を除去することで、プラークが付きにくい環境を作ります。

炎症の軽減

歯石に覆われていた部分の歯肉は、多くの場合赤く炎症を起こしています。歯石は口腔内の細菌の住処となりそこで歯周病細菌がすみついて悪さをするからです。赤く歯肉が腫れている部分ではあなたの免疫と増え続けた細菌が戦っている証拠なのです。

歯石を除去することで、細菌の数が減り炎症が治まります。

歯周病進行の防止

歯石を放置すると、歯石に付着した細菌と体の免疫応答の影響で歯周ポケットがどんどん深くなり、最終的には歯槽骨が溶けて歯が抜けてしまいます。この最悪のストーリーを引き起こさないために歯石の除去は必要なのです。

治療の流れと期間

初診時

1.問診・カウンセリング

1.問診・カウンセリング
  • 症状や気になることをお聞きします
  • 治療への不安や質問にお答えします
  • 病態の説明、歯周治療の流れを説明します

2.検査

2.検査<
  • 歯周ポケット検査(各歯の歯周ポケットの深さを測定)、口腔内写真撮影
  • レントゲン検査(骨の状態を確認)
  • 歯石・プラークの付着状態のチェック
  • 歯茎の炎症度合いの確認

3.ブラッシング指導

3.ブラッシング指導
  • 正しい歯磨き方法の習得
  • 染め出し、プラークコントロールレコード(磨き残しのスコア)の測定
  • 歯ブラシ・フロス・歯間ブラシの使い方

2回目以降

4.歯肉縁上歯石除去(スケーリング)

  • 上下の歯を2〜4回に分けて実施することもあります
  • 1回あたり30分〜1時間程度

5.再評価

5.再評価
  • 歯肉の状態をチェック
  • 歯周ポケットの深さを再測定
  • プラークコントロールの状況確認
  • 必要に応じて歯肉縁下歯石の除去、歯周外科治療の説明

治療期間の目安

軽度の歯周病 2〜4週間(2〜4回の来院)
中等度以上 状態により異なりますが、歯肉縁下歯石除去(SRP)や外科処置が必要になる場合もあります

費用の目安(保険適用3割負担の場合)

初診
(検査・レントゲン含む)
約4,000円
スケーリング 約2,000円
合計 軽度の場合で5,000〜10,000円程度

治療後の注意点とケア方法

6.治療後の注意点とケア方法

治療直後に起こりうる症状

これらは一時的なもので、多くの場合1〜2週間で改善します。

1. 知覚過敏(歯がしみる)

原因 歯石で覆われていた部分が露出するため
対処 知覚過敏用の歯磨き粉の使用、症状が強い場合は薬剤塗布

2.歯肉からの軽い出血

原因 炎症があった歯茎が治癒する過程で起こる
対処 優しく丁寧にブラッシングを続ける

3.歯と歯の間に隙間を感じる

原因 腫れていた歯茎が引き締まり、歯石が取れたため
対処 歯間ブラシやフロスでケアを徹底

ホームケアのポイント

治療効果を最大限に引き出すには、自宅でのケアが最も重要です。

1.正しいブラッシング

  • 歯と歯肉の境目を意識する
  • 歯ブラシは45度の角度であてる
  • 小刻みに振動させる(ゴシゴシこすらない)
  • 1本ずつ丁寧に磨く
  • 1日2〜3回、1回3分以上が理想

2.補助清掃用具の活用

  1. デンタルフロス歯と歯の間の汚れを除去します。コンタクト部分ではこれがないとバイオフィルムの除去は不可能です。
  2. 歯間ブラシ隙間に合ったサイズを選びましょう。サイズが不適切な歯間ブラシを使用すると歯肉を傷つけてしまう原因となります。ヨーロッパ歯周病学会が提言するガイドラインでは歯周病患者への歯間ブラシの使用は強く推奨されています。
  3. タフトブラシ奥歯や歯並びの悪い部分に使用します。矯正装置の付いている場合も効果的です。

3.生活習慣の改善

  1. 禁煙喫煙は歯周病のリスクを大幅に高めます
  2. 生活習慣病の管理 糖尿病と歯周病の相関関係ははっきりとしており、両者の治療が双方向へ良い結果をもたらします。
  3. 生活習慣の管理ストレス管理、バランスの良い食事、十分な睡眠

予防のための定期メンテナンス

7.予防のための定期メンテナンス

歯周病治療で最も大切なのは、治療後の定期的なメンテナンスです。

定期メンテナンスの頻度

20歳前後の方 4~6ヶ月に1回
歯肉炎の程度が軽度の方 4~6ヶ月に1回
軽度の歯周病治療後 3〜4ヶ月に1回
中等度以上の治療後 1〜3ヶ月に1回

メンテナンスの内容

  • 歯周ポケット検査
  • 歯石・プラークのチェックと除去
  • ブラッシング指導の再確認
  • 歯茎の状態確認
  • 必要に応じてレントゲン検査

毎日丁寧に歯を磨いていても、どうしても磨き残しは発生します。また、歯石は約2日でプラークから形成されるため、完全に防ぐことは困難です。定期的なプロフェッショナルケアと自宅でのセルフケアの両輪で、健康な歯茎を維持することができます。

8.よくある質問Q&A

8.よくある質問Q&A

Q.歯石除去は痛いですか?

A.歯肉縁上歯石の除去において基本的に痛みはほとんどありません。ただし、歯茎の炎症が強い場合や知覚過敏がある場合には、多少の不快感を感じてしまうことがあります。痛みに敏感な方は遠慮なくお伝えください。

Q.歯石除去後、歯の隙間が目立つようになりました。大丈夫でしょうか?

A.これは歯石が取れて、腫れていた歯茎が引き締まったためです。治療の効果が出ている証拠ですので、心配ありません。隙間には食べ物が挟まりやすくなるため、フロスや歯間ブラシでのケアを徹底しましょう。

Q.1回で全部の歯石を取ってもらえないのですか?

A.歯周病の検査を行い、段階的に治療を進めていくことが必要です。これは、ブラッシングが改善されないまま縁下歯石だけ取っても、すぐに再発してしまうためです。確実な治療のためには、縁上の歯石と縁下の歯石に分けて取り除くことが効果的です。

Q.市販の歯周病薬で治せませんか?

A.市販の歯周病薬は症状を一時的に軽減する補助的なものです。歯周病の根本原因は歯石とプラークですので、これらを除去しない限り、根本的な解決にはなりません。歯科医院での治療と適切なブラッシングが最も効果的です。

Q.歯石は自分で取れませんか?

A.歯石は歯に強固に付着しているため、自分で取ろうとすると歯や歯茎を傷つける危険があります。必ず歯科医師または歯科衛生士による専門的な処置を受けるようにしましょう。

Q.治療後、どのくらいで効果が実感できますか?

A.軽度の歯周病であれば、1〜2週間で歯茎の色や引き締まりを実感できます。出血も徐々に減少していきます。ただし、ホームケアをしっかり行うことが前提です。

Q.妊娠中でも歯石除去はできますか?

A.妊娠中でも歯石除去は可能です。むしろ、妊娠中はホルモンバランスの変化で歯周病になりやすいため、定期的なケアが推奨されます。ただし、妊娠の時期や体調により配慮が必要ですので、事前にお知らせください。

【まとめ】

【まとめ】

歯周病は自覚症状が少ないまま進行する病気です。しかし、早期に発見し、適切な治療を受けることで、確実に改善できます。

歯肉縁上歯石除去(スケーリング)は、歯周病治療の基本であり、最も重要な処置の一つです。定期的なプロフェッショナルケアと、毎日のセルフケアの両方を継続することで、生涯にわたって健康な歯を保つことができます。

「歯茎から血が出る」「口臭が気になる」「歯がザラザラする」などの症状があれば、それは歯周病のサインかもしれません。早めに歯科医院を受診し、専門家による検査と治療を受けることをお勧めします。

1本の歯の価値は約100万円とも言われています。大切な歯を守るために、今日から歯周病予防を始めましょう。
気になることが、思い当たることがある場合には当院までご相談ください。

診療時間

09:30-13:00 ×
14:00-18:00 ××

【 休診日 】 月曜・祝日
※土曜日は17時まで
※最終受付は診療終了30分前になります。

022-395-7093

アクセス

アクセスマップ

宮城県仙台市太白区東中田6丁目5-28
南仙台駅から徒歩10分・名取駅から車で7分

24時間WEB予約
公式LINE

WEB予約にて空きがなかった場合、
お電話にて予約をお取りできる場合がございます