歯の根っこの治療って何をしているの?再根管治療でいちばん時間がかかる工程 「根管充填材(ガッタパーチャ)の除去」

こんにちは、南仙台どうどう歯科クリニックです。 「以前に神経の治療をした歯が、また痛くなってきた」「レントゲンで、根の先に黒い影があると言われた」「膿が出る・噛むと違和感がある。抜歯と言われたが残したい」 こうしたご相談で行うのが、いわゆる「再根管治療(さいこんかんちりょう)」です。当院でも日常的に扱う治療ですが、実は治療時間の多くを占めるのが、前回入っている根管充填材を取り除く工程です。今回はこの工程にしぼって、使用する材料から実際の器具の使い方を具体的にご紹介します。 この記事の要点 過去に神経の治療をした歯が再び痛む・根の先に病巣がある場合、「やり直しの根管治療(再根管治療)」が必要になります。 その第一関門が、前回詰められた根管充填材(ほとんどがガッタパーチャ)の除去です。 大切なのは「全部きれいに取ること」だけではなく、歯を削りすぎず・穴を開けず・細菌を減らすこと。だからこそ拡大視野(マイクロスコープ)が要になります。 根管充填材とは根の中に最後に詰めるもの 歯の神経(歯髄)を取ったあと、あるいは神経が死んでしまって細菌に感染した根の中を清掃したあと、最後に根管(歯の根の中の細い管)を封鎖するために詰める材料が「根管充填材」です。 現在、根管充填材として用いられている材料の多くはガッタパーチャです。 根管充填の目的は、根管系のすみずみまで可能なかぎり三次元的に緊密に封鎖し、細菌が再び住みつく隙間をなくすことにあります。日本歯内療法学会のガイドラインにも、「全ての根管を可能な限り根尖近くまで緊密に充填し、X線的に良好な根管充填をする」と示されています。 ここがポイント 根管充填は「穴を埋める」作業ではなく、「細菌の住処を封鎖する」作業です。そのため、やり直すときは“詰め物を取る”のではなく“細菌ごと取り除いて封鎖し直す”という発想になります。 ガッタパーチャとはもとは海底ケーブルの絶縁材 SPIDENTより引用 ガッタパーチャは、もともとマレーシアを中心とした東南アジア・南アジアに広く分布する「グッタペルカ」とよばれる広葉樹から採取される樹脂から作られています。天然ゴムと同様に加熱することで成型できる特性に加え、水中で劣化しにくい性質から、19世紀後半には海底ケーブルの絶縁体として多く用いられてきました。歯科での使用が始まったのも、ちょうどこの頃です。 意外に思われるのですが、歯科用のガッタパーチャ材は「ほぼゴム」ではありません。 酸化亜鉛 組成の6〜7割を占める主成分 ガッタパーチャ 実際の割合は2割前後 その他 重金属塩、可塑性を得るためのワックスなど 軟化温度 60℃付近で軟らかくなる 生体への影響 組織為害性が低い(体に対する刺激が少ない) 除去性 比較的容易に除去できるのが特徴 この「60℃前後で軟らかくなる」という性質こそが、除去の鍵になります。後述するように、超音波チップの発熱を利用して軟化させれば、強い力をかけずに取り除くことができるのです。逆にいえば、材料の性質を理解せずに力任せに削ると、必要以上に歯を削ってしまうことになります。 再根管治療の困難さ「全部取る」が正解とは限らない 再根管治療というと、真っ先に「ガッタパーチャの除去」を連想される患者さんが多いと思います。除去に費やす時間が長く、しかも完全に除去することが難しいためです。 ただ、再根管治療の本質は「細菌によって引き起こされた病変を治癒させること」であり、「原因である細菌を根管系から可能なかぎり除去すること」にあります。ガッタパーチャの除去は、それを達成するために行う作業の一つであって、目的そのものではありません。とはいえ、その向こう側にいる敵(細菌)にたどり着くために必ず通過しなければならない関門であり、厄介な存在であることも事実です。 難しさの理由 前回の根管充填の質が高いほど、除去は難しくなる根管充填は「すみずみまで緊密に」を目指して材料も手法も改良されてきました。つまり、しっかり詰まっているほど取りにくいという、ある種の宿命があります。 歯を削りすぎれば本末転倒相当量の歯質を削れば残ったガッタパーチャは取れるかもしれません。しかしその結果、歯根破折などを引き起こしてしまえば、そもそもの目的を達成できずに歯の寿命を縮めてしまうことになります。 根の先に出てしまった材料を無理に追わないファイルや超音波チップを根尖付近で操作すると根尖狭窄部(根の出口の“くびれ”)を壊してしまい、新たな根管充填を緊密に行えなくなってしまいます。明るい視野下での丁寧な器具操作が必要となります。 根管は肉眼では見えない根管は細く、曲がり、枝分かれし、しかも口の中の暗い奥にあります。裸眼では「感覚」に頼る割合が大きくなります。 当院の基本方針 マイクロスコープ下で、歯質にダメージを与えることなく容易に除去できる場合を除き、基本的には、除去できないガッタパーチャを深追いはしません。まず無菌的な根管治療を確実に行い、それでも治癒が得られない場合には外科的歯内療法(歯根端切除術など)を検討します。 「取り切ること」よりも「歯を残すこと」を優先する ― これが再根管治療の判断基準です。 治療成績について 根管治療の成績については、Ngらによる系統的レビューで、初回根管治療の成功率は判定基準の厳しさによっておよそ74.7%〜85.2%と報告されています。また、成功率は術後の経過期間とともに上がっていくこと(厳格な基準で6か月29.6%→48か月以上85.4%)も示されています。再根管治療はこれより条件が厳しくなるため、成功率は一般に初回治療を下回る傾向があり、近年の系統的レビューでも良好な条件下でおおむね8割前後と報告されています。 つまり、根管治療においては「100%必ず治ります」と断言することはできません。だからこそ、1回1回の治療の精度を上げ、細菌を入れない・残さないための手立てを尽くすことが重要になります。 マイクロスコープを使うことの治療上の優位性 ペントロンジャパン株式会社HPより引用 当院では根管治療において、歯科用実体顕微鏡3台(マイクロスコープ/ブライトビジョン3200・プリマ マグナα・ブライトビジョン2050R )を使用しています。歯科用CTと併用することで、レントゲンだけでは分からなかった根管の形や病変の広がりを把握したうえで、実際の処置を明るい視野下で可能な限り「見える状態」で行います。 見逃されていた根管が見つかる 米国歯内療法学会(AAE)の資料では、上顎大臼歯で見逃されやすいMB2根管(近心頬側第二根管)の検出率は、マイクロスコープ使用時で90%、裸眼では52%であったと報告されています。再根管治療がうまくいかない原因の一つが「未処置の根管が残っていた」ことであり、これを見つけられるかどうかは予後を大きく左右します。 残っている材料を「確認しながら」除去できる AAEの資料でも、顕微鏡はシーラーの残り、ペースト、ガッタパーチャ、シルバーポイント、キャリアベースの材料、ポスト(土台の金属)や破折器具といった残存物の特定と除去に有用であるとされています。黒い穴の中を手探りするのではなく、「どこに何が残っているか」を見たうえで器具を当てられることが、最大の違いです。 歯を削る量を最小限にできる 再根管治療における最大のリスクは「削りすぎ」です。拡大視野があれば、ガッタパーチャと歯質の境目を見分けながら器具を進められるため、健康な歯質を温存しやすくなります。穿孔や亀裂(ひび)の早期発見にもつながります。 記録して、見直しができる マイクロスコープは動画・静止画の記録ができます。「今どういう状態で、何が残っていて、次に何をするのか」を実際の画像でご覧いただけるため、治療方針を一緒に考えていただけます。 ガッタパーチャ除去の実際使う器具と手順 ガッタパーチャの除去には、温熱器具、手用ステンレススチールファイル、超音波チップ、NiTi(ニッケルチタン)ロータリーファイルなどが用いられます。多くの場合、これらを組み合わせることでより効果的な除去が行え、同時に治療時間の短縮も可能になります。組み合わせ方は根管充填の状態や歯の形態によってさまざまですが、当院でよく行う流れを一例としてご紹介します。 ガッタパーチャ切断面の明示(ストレートラインアクセス) 初回治療で「ストレートラインアクセス」という考え方があります。一方向から覗いたときに根管口(根の入り口)がすべて見えるように上部を形成する方法で、ファイルに無理な力をかけずに根管形成をスムーズに行うために有効です。再根管治療でも考え方は同じで、充填されたガッタパーチャがすべて一方向から見えるよう、上部のアクセス形態を整えます。ここが甘いと、以降の工程すべてが「手探り」になります。 根管上部のガッタパーチャ除去(熱と振動) 根管上部のガッタパーチャは、切断面よりも小さな径の超音波チップを用いて、熱と振動で除去します。ガッタパーチャは約60℃で軟化が始まるため、力を加えなくても除去できます。 この工程では熱を得るために超音波チップを無注水下で使用します。チップが高温になることから、歯根周囲への組織の損傷を防ぐためにも、連続して20秒以上の使用は避けたほうが安全です。当院でも時間を区切りながら慎重に操作しています。 根管中央部の除去(NiTiロータリーファイル) 中央部には、ガッタパーチャ除去専用に設計されたNiTiロータリーファイルを用います。ニッケルチタン製のファイルはしなやかで、曲がった根管にも追従しやすいのが特徴です。 コメットエンドリスタート(株式会社モモセ歯科商会)より引用 根尖側の除去(細いチップ・手用ファイル・リムーバー) 根の先に近い部分は最も繊細な操作が求められます。先端径の細い超音波チップ、手用ステンレススチールファイル、GPリムーバーなどを、マイクロスコープで確認しながら使い分けます。前述のとおり、根尖狭窄部を壊さないことが最優先です。 ガッタパーチャ除去に用いる主な器具 SDサンデンタル株式会社より引用 超音波チップ E7D(ナカニシ)根管上部のガッタパーチャ除去に用いる。ダイヤモンドコーティング部あり 超音波チップ SCポイント4(長田電機工業)先端径の細い超音波チップ。表面は滑沢で、歯質はほとんど削除しない NiTiファイル エンドリスタート(コメット)ガッタパーチャに食い込むよう鋭利な形態 リムーバー GPリムーバー スピアー(YDM)/NEW O・Kマイクロエキスカ先端部の凸部にガッタパーチャを引っ掛けるように当てて除去する その他 温熱器具/手用ステンレススチールファイル組み合わせて使用することで効率と安全性が向上する 補足:根管の3つのエリアで、器具を使い分けます 根管上部(根管口〜) 超音波チップで熱と振動により除去 根管中央部 NiTiロータリーファイルで効率よく除去 根尖側(根の先) 細い超音波チップ・手用ファイル・リムーバーで、狭窄部を壊さないよう慎重に 除去後は、根管洗浄・貼薬を行い、症状と所見を確認したうえで、あらためて緊密な根管充填を行います。「除去して終わり」ではなく、その先の洗浄・消毒・封鎖までが再根管治療です。 実際の症例 こちらは根管治療においてガッタパーチャを取り除く動画になります。 汚染されたガッタパーチャ ここに汚染されたガッタパーチャが見られます。 ガッタパーチャを除去する様子 ガッタパーチャを取っている最中です。 奥のガッタパーチャの除去 さらに奥のガッタパーチャを取っています。 まとめ 根管充填材の多くはガッタパーチャ。ただし組成の6〜7割は酸化亜鉛で、約60℃で軟化するという性質が除去の鍵になります。 再根管治療の本質は「細菌によって引き起こされた病変を治癒させること」。ガッタパーチャの除去はその手段であって、目的ではありません。 前回の根管充填が緊密であるほど除去は難しく、削りすぎれば歯根破折などを招きます。「取り切ること」より「歯を残すこと」を優先します。 除去できない材料を深追いせず、無菌的な根管治療を行い、それでも治癒しない場合は外科的歯内療法を検討する ― これが安全な考え方です。 マイクロスコープは、見逃し根管の発見(MB2検出率90%対52%)、残存材料の確認と除去、削除量の最小化に有用です。当院では自費根管治療においてラバーダム防湿との併用を行うことでより精密な根管治療に取り組んでおります。 根管治療に「100%」はありません。だからこそ、精度を上げ、リスクを正しくお伝えしたうえで一緒に方針を決めていくことを大切にしています。 「他院で抜歯と言われた」「治療したのに症状が続いている」といった歯についても、まずは現状を正確に診断するところから始めます。歯科用CTとマイクロスコープでの精査を行い、残せる可能性・残せない場合の選択肢を含めてご説明します。どうぞお気軽にご相談ください。 WEB予約

2026.09.25

歯周病治療になぜ「歯石除去」が必要なの?歯肉縁上歯石・歯肉縁下歯石の違いと、メンテナンスの大切さ

こんにちは。南仙台どうどう歯科クリニックです。 今回は、歯周病治療の基本となる「歯石除去(スケーリング)」について、実際の処置の様子を収めた動画とともにご紹介します。 「歯石を取ると聞くと痛そう」「なぜ何回も通う必要があるの?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。 この記事では、歯石除去がなぜ必要なのか、歯石にも種類があること、そして治療後のメンテナンスがなぜ欠かせないのかを、できるだけわかりやすくご説明します。 歯周治療において歯石除去が必要な理由 歯石は、歯についた歯垢(プラーク)が唾液の中のミネラル成分と結びついて石のように硬くなったものです。歯垢は歯みがきで落とせますが、一度歯石になってしまうと歯ブラシでは取り除くことができません。 歯石の表面はざらざらしているため、そこに新たな歯垢がつきやすくなり、細菌がどんどん増えてしまいます。この細菌が歯ぐきに炎症を起こすことで、歯周病が始まったり進行したりします。 つまり歯石をそのままにしておくと、歯ぐきの腫れや出血、口臭、さらには歯を支える骨が溶けてしまうといった症状につながってしまうのです。 歯周病の進行を止め、健康な歯ぐきを取り戻すためには、専用の器具を使って歯石を丁寧に取り除く「歯石除去」が土台となる治療になります。 歯肉縁上歯石と歯肉縁下歯石の違い 歯石は、できる場所によって大きく二つに分けられます。 歯肉縁上歯石(しにくえんじょうしせき) 歯肉縁上歯石(しにくえんじょうしせき)は、歯ぐきより上、つまり目に見える部分の歯の表面についた歯石です。色は白っぽい、または黄白色をしていることが多く、比較的やわらかいため、通常のクリーニングで取り除きやすいのが特徴です。 歯肉縁下歯石(しにくえんかしせき) 歯肉縁下歯石(しにくえんかしせき)は、歯ぐきの中、歯と歯ぐきの間にできた溝(歯周ポケット)の内側についた歯石です。 血液の成分を含むため黒っぽい色をしており、縁上歯石よりも硬く歯の根の表面にこびりついているため、除去がより難しくなります。歯周病が進行している方ほど、この縁下歯石が多く付着している傾向があります。 歯肉縁下歯石の除去に時間がかかる理由 歯肉縁下歯石の除去は、歯肉縁上歯石の除去に比べて時間がかかります。主な理由は次の通りです。 まず、歯周ポケットの中は直接目で見ることができないため、歯根の解剖学的な知識と器具の感覚を頼りに、歯の根の表面に沿って歯石を探りながら取り除く必要があります。 歯の根は複雑な凹凸を持っているため、ひとつひとつの面を丁寧に確認しながら進めなければ、歯石の取り残しが起こってしまいます。 また、歯ぐきの炎症が強い場合は、一度にすべての歯石を取ろうとすると痛みや出血が大きくなってしまうため、お口の中をいくつかの部分に分けて、数回に分けて処置を行うことが一般的です。 このように、見えない部分を手探りで歯石の取り残しがないように、かつ歯ぐきに負担をかけすぎないよう慎重に進めるため、歯肉縁下歯石の除去にはどうしても複数回の通院と時間が必要になるのです。 では実際の歯肉縁下歯石の除去時の動画をみてみましょう。 お使いのブラウザは動画の再生に対応していません。 【before】 【after】 今回の動画は下の歯の裏側で歯肉の縁上・縁下の境目にある歯石除去でした。拡大視野下でしっかり目に見える状態で治療を行うことで健全な組織を不必要に傷つけずに必要な治療を行うことが可能となります。 歯周病を悪化させないためのメンテナンスの重要性 歯石を取り除き、歯ぐきの炎症が落ち着いたとしても、それで治療が終わりというわけではありません。 歯石のもとになる歯垢は、歯石除去の直後からまた歯の表面に付き始めます。セルフケアだけでは落としきれない部分にどうしても歯垢や歯石が再びたまってしまうため、歯周病は「治療して終わり」ではなく「再発を防ぎ続ける」ことが何より大切な病気です。 そのため当院では、定期的なメンテナンス(歯科医院での専門的な歯周病の管理)をおすすめしています。メンテナンスでは、歯石の再付着がないかの確認、歯周ポケットの深さのチェック、歯みがきでは落としきれない汚れの除去などを行い、歯周病が再び進行してしまう前に早めに対処します。 毎日の歯みがきと、数か月に一度のメンテナンスを組み合わせることが、歯を長く健康に保つための一番の近道です。 おわりに 歯石除去は、歯周病治療の入り口であり、また再発を防ぐためにずっと続けていく大切なケアでもあります。歯ぐきの腫れや出血、口臭が気になる方、長らく歯科医院でのクリーニングを受けていない方は、ぜひ一度南仙台どうどう歯科クリニックへご相談ください。 ご予約・お問い合わせをお待ちしております。 お電話はこちらから WEB予約はこちらから

2026.09.16

歯ブラシの交換時期、正しく知っていますか?毛先のサインの見分け方とおすすめの一本

こんにちは、南仙台どうどう歯科クリニックです。 「毛先が乱れてきたかな…」と思いつつ、なんとなく同じ歯ブラシを使い続けていませんか。今回は、歯ブラシの交換時期について、ご自宅でできるセルフチェックの方法や歯ブラシそのものの選び方まで詳しくご紹介します。あわせて、当院がおすすめしている歯ブラシについてもご案内します。 歯ブラシの寿命を決めるのは「毛先」 歯ブラシは使うたびに毛先が少しずつ開き、コシ(弾力)を失っていきます。毛先が開いた状態でどれだけ丁寧にブラッシングしても、新品のときと同じようにプラーク(歯垢)を落とすことはできません。「磨いているつもり」で実は磨けていない、という状態に陥りやすいのが、この毛先の劣化です。 全日本ブラシ工業協同組合の実験では、1か月相当ブラッシングした歯ブラシは、新品の歯ブラシと比べて汚れを落とす力が約26%低下することが示されています。また、複数の臨床研究をまとめた報告でも、歯ブラシの毛先の開きは使用開始から6週間、そして3か月の時点で有意に進行し、3か月時点では毛の硬さ自体も低下することが報告されています。 さらに、毛先が大きく開いた状態で使い続けると、開いた毛先が歯ぐきに強く当たりやすくなり、歯ぐきが下がる一因になるとも指摘されています。歯ぐきが下がって歯の根元が露出すると、その部分はむし歯や知覚過敏のリスクが高い場所でもあるため、注意が必要です。 交換の目安はどれくらい? 交換のタイミングは、ブラッシングの回数や力の入れ方によって個人差がありますが、当院では基本的に1カ月に1回交換を推奨しています。 ブラッシングの頻度や力の入れ方によって毛先の傷み方が変わるため一概には決められませんが、「何か月使ったか」だけでなく、毛先そのものの状態を定期的にチェックする習慣をつけることが大切です。 こんなサインが出たら交換のタイミング 以下のいずれかに当てはまったら、経過月数にかかわらず交換のサインです。 歯ブラシを裏側(毛の生えている面の反対側)から見たときに、毛先がヘッドの外側にはみ出して見える 毛先を触るとコシがなく、フニャッとした感触になっている 毛の色が変色している、または毛先が黄ばんでいる ブラッシング時に「ゴワゴワとした当たり」や「効いている感覚」が薄れてきた とくに、歯ブラシを裏側から見て毛先の広がりを確認する方法は、ご自宅でも簡単にできるチェック方法です。月に一度、鏡の前でお子さんと一緒に確認する習慣にするのもおすすめです。 毛先がすぐ開いてしまう方は要注意 1か月に満たないうちに毛先が大きく開いてしまう場合は、ブラッシング時の力が強すぎるサインです。歯ブラシは「ゴシゴシ」と力を入れるよりも、鉛筆を持つように軽い力で小刻みに動かす方が、歯や歯ぐきを傷つけずにプラークを効率よく落とすことができます。 力を入れすぎている自覚がない方は、次回のご来院時にブラッシング圧についてもぜひご相談ください。 自分に合った歯ブラシの選び方 交換時期と同じくらい大切なのが、そもそもどんな歯ブラシを選ぶかという点です。当院では次のような基準を目安にお伝えしています。 歯ブラシ選びの基準 毛の硬さ やわらかめ〜ふつうが基本。歯や歯ぐきの状態によって適した硬さは変わるため、迷ったら歯科衛生士にご相談ください。 毛束(毛の列) 3列タイプは毛束のバランスがよく、細かい部分までコントロールしやすいためおすすめです。 ヘッドの大きさ 小さめでストレートな形状のものは、奥歯の奥まで届きやすく、口の小さな方やお子さんにも扱いやすいのが特徴です。 用途の違うタイプに注意 毛先が極端に細い「システマタイプ」などは、通常のプラークコントロール用歯ブラシとは目的や使い方が異なります。自己判断で置き換えず、用途を確認してから使用しましょう。 歯ブラシを長持ちさせるお手入れ方法 歯ブラシの寿命は使い方次第でも変わります。次の3つを意識するだけで、毛先の傷みを遅らせることができます。 お手入れの3つのポイント 優しく丁寧に磨く力を入れすぎない 使用後はきちんと洗う毛の根元に残った汚れをしっかり洗い流す しっかり乾かして保管する湿ったまま放置すると雑菌が繁殖しやすくなる 歯ブラシは水回りで使う道具のため、汚れを落とす力が落ちるだけでなく、雑菌が繁殖しやすい点にも注意が必要です。清潔な歯ブラシを保つことも、口腔内を健康に保つための大切な習慣です。 当院おすすめの歯ブラシ「バトラー Bケア(Bcare)」 ここまでご紹介した「毛の硬さ」「毛束の列数」「ヘッドの大きさ」という選び方の基準を踏まえて、当院が日常のケア用としておすすめしているのが、サンスターの歯科専売品「バトラー ハブラシ Bケア」です。 バトラー Bケアの特長 テーパード加工の毛先毛先を先細りに加工し、歯と歯の間や歯ぐきの際など、汚れが残りやすい細部までしっかり届いてプラークを効率よくかき出します。 3列・薄型のコンパクトヘッド先ほどご紹介した「3列タイプ」「小さめでストレートなヘッド」の基準にちょうど当てはまる設計で、奥歯の奥まで無理なく届きます。 毛の硬さを2種類から選択可能「S(やわらかめ)」と「M(ふつう)」をラインナップ。健康な歯ぐきの方やしっかりめの磨き心地が好みの方にはM、歯ぐきが敏感な方にはSと、お口の状態に合わせて選べます。 持ちやすいハンドル手になじみやすい形状で、細かい部分まで自分でコントロールしながら磨きやすいと好評です。 歯科医院専売品ドラッグストアでは手に入りにくい、歯科医療の現場での使用を前提に設計された一本です。当院でお渡し・ご案内が可能です。 「毎日ちゃんと磨いているのに汚れが残っている気がする」「自分に合う歯ブラシがわからない」という方は、次回のご来院時にぜひスタッフへお声がけください。お口の状態を拝見しながら、Bケアを含めた歯ブラシ選びのご相談も承っております。 まとめ この記事のポイント 歯ブラシの清掃力は、毛先の開きとともに少しずつ低下していく 交換の目安は3週間〜1か月。ただし毛先の状態が最優先のサイン 裏側から見て毛先がはみ出していないか、月に一度はセルフチェックを 毛先がすぐ開く場合はブラッシング圧を見直すサイン 毛の硬さ・毛束の列数・ヘッドの大きさも清掃効果を左右する重要なポイント 当院では歯科専売品「バトラー Bケア」をおすすめしています 毎日の歯みがきの効果を最大限に引き出すために、まずはご自宅の歯ブラシの毛先をチェックしてみてください。歯ブラシ選びや交換時期について気になることがあれば、南仙台どうどう歯科クリニックのスタッフまでお気軽にご相談ください。

2026.09.10

「食後すぐに歯を磨かない方がいい」って本当? ありがちな誤解を歯科医師が紐解く

こんにちは、南仙台どうどう歯科クリニックです。 「食後30分は歯を磨いてはいけない」テレビやネットでこんな話を聞いて、「今まで通り食後すぐ磨いていいのかな?」と不安になった方はいらっしゃいませんか。今回はこの噂の出どころと、現時点で科学的にわかっていることを、歯科の学会が出している見解をもとにわかりやすくまとめてみました。 「食後30分は歯磨きNG」説はどこから来たの? もともと保育園や幼稚園、学校では「お昼ごはんの後はなるべく早く歯みがきをしましょう」と指導されてきました。むし歯菌のかたまりである歯垢(プラーク)や、口の中に残った糖分を早めに取り除くためです。 ところが2012年ごろから、「食後すぐに歯を磨くとエナメル質が傷つく」という報道が増え、「食後30分は歯磨きをしてはいけない」という話が独り歩きするようになりました。 この報道のもとになったのは、実は歯の一番外側にあるエナメル質ではなく、その内側にある象牙質(ぞうげしつ)の実験でした。象牙質の試験片を酸性の炭酸飲料に90秒間浸し、口の中に見立てた環境に戻してから、歯みがきを始めるタイミングによって酸がどれくらい染み込むかを調べたものだったのです。 つまり、むし歯とは仕組みが違う「酸蝕症(さんしょくしょう)」といった酸そのものが直接歯を溶かす現象についての実験結果が、いつの間にか「食後の歯磨き全般」の話にすり替わってしまったというわけです。 むし歯と酸蝕症は仕組みが違う ここで整理しておきたいのが、むし歯と酸蝕症の違いです。 むし歯と酸蝕症の違い むし歯歯垢の中の細菌が糖分を分解して酸をつくり、その酸が歯を溶かす(脱灰させる) 酸蝕症飲食物に含まれる酸そのものが、直接歯の表面を溶かす むし歯予防のための歯みがきの目的は、原因となる歯垢と糖分を取り除くことです。酸性の強い飲食物によって起こる酸蝕症とは、そもそも成り立ちが違う話なのです。 また、実際の口の中で酸性飲食物に触れているのは、実験で使われた象牙質ではなく、酸への抵抗力がずっと高いエナメル質です。さらに唾液には酸を中和するはたらきがあるため、よほど頻繁に酸性飲料をとり続けない限り、通常の食事で酸蝕症が起こることは考えにくいとされています。 唾液の力で口の中のpHは1分でほぼ戻る 実際に、酸性飲料を飲んだ直後の口の中のpHを測った実験があります。お酢・オレンジジュース・コーラ・スポーツドリンク(イオン飲料)・ヨーグルトを飲んだ直後は口の中のpHが下がりますが、わずか1分後には、飲む前とほぼ同じ中性に近いpH(7前後)まで回復することがわかっています(特にお酢は飲用直後pH4弱まで下がりますが、1分後には7前後まで戻ります)。 これは唾液による緩衝作用(酸を中和するはたらき)がしっかり働いていることを示すデータです。ただしこれは口の中に吐き出した唾液のpHであり、歯の表面そのもののpHとは異なる点には注意が必要です。 「歯磨きを遅らせれば酸蝕を防げる」わけでもない では逆に、「酸性のものを食べたら歯磨きを遅らせた方が歯には優しいのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし2020年に発表されたシステマティックレビュー(複数の研究をまとめて検証した論文)では、酸性の強い飲食物をとった後に歯磨きを遅らせても、エナメル質の酸蝕を減らす効果は確認されなかったと報告されています。つまり、「歯磨きのタイミングを遅らせるだけ」では酸蝕予防にはならないということです。 歯科の学会も見解を発表しています この件については、日本小児歯科学会、日本歯科保存学会、日本口腔衛生学会といった専門の学会もそれぞれ見解を示しています。内容を整理すると、おおむね次のようにまとめられます。 学会の見解(要点) 「食後30分は歯磨きを避けるべき」という考え方は、本来「強い酸性の飲食物をとった直後」の酸蝕症対策に限定して当てはまる話であり、通常の食事すべてに当てはめるものではない 「30分」という具体的な時間は、主に試験管内での実験結果にもとづくもので、実際の生活の中で30分を守るべきという明確な根拠はまだ確認されていない 酸蝕症は主に成人期に問題となりやすく、通常の食生活をしている子どもや未成年にはあまり当てはまらない むし歯・歯周病予防の観点からは、これまで通り食後の早い時間帯に歯みがきをすることが推奨される 通常の食事なら、これまで通り食後早めの歯みがきでOK 強い酸性の食品・飲料(お酢、柑橘系ジュース、炭酸飲料など)をたくさんとった場合は、歯の酸蝕に多少気をつけたほうがよいものの、「食後30分は歯磨きを避けるべき」というほど明確な根拠は今のところ存在しません。 普段の食事であれば、「ブラッシングで歯が削れてしまうのでは」と過度に心配する必要はなく、むし歯や歯周病を防ぐという観点からも、これまで通り食後のなるべく早いタイミングで歯みがきをしていただいて大丈夫です。 気になる場合のちょっとした工夫 とはいえ、お酢や柑橘系の飲食物、炭酸飲料などを頻繁にとる習慣がある方は、次のような工夫を取り入れると安心です。 酸性の強い飲食物をとった後は、まず水やお茶で軽く口をすすぐ 歯みがきの際はゴシゴシ強くこすりすぎない 気になる場合は、フッ素配合の歯磨剤を使う いずれも「絶対にこうしなければならない」というものではありませんが、心配な方は取り入れてみてください。 おわりに ネットやテレビの情報は、もとになった実験や研究の一部だけが切り取られて広まってしまうことが少なくありません。今回ご紹介した「食後30分歯磨きNG説」もその一例です。迷ったときは、学会が出している公式な見解を確認するのがおすすめです。 当院では正しい知識と技術で皆様のお口の健康を守っていきます。歯みがきのタイミングやお口のケアについて気になることがあれば、南仙台どうどう歯科クリニックのスタッフまでお気軽にご相談ください。

2026.09.10

リッジプリザベーションとは? 抜歯後の骨吸収を防ぐ治療法を症例写真つきで解説

「歯を抜いたあと、そのままにしておくと歯茎や骨が痩せてしまう」という話を聞いたことはありませんか。抜歯後の歯槽骨は、放置すると数か月のうちに大きく吸収し、将来インプラント治療を検討する際に骨の量が不足してしまうことがあります。 この記事では、抜歯後の骨吸収をできるだけ抑える「リッジプリザベーション(歯槽堤保存術)」について、治療の目的やメリット、実際の治療の流れを、当院で行った症例写真とともに分かりやすく解説します。 リッジプリザベーションとは リッジプリザベーション(Ridge Preservation)とは、抜歯した直後の抜歯窩(歯を抜いたあとの穴)に人工骨補填材や骨移植材料を填入し、必要に応じてコラーゲンメンブレン(遮蔽膜)で覆うことで、歯槽骨や歯肉の吸収・退縮をできるだけ抑え、骨の形態を保存する外科処置です。 「歯槽堤保存術」と呼ばれることもあります。 将来的にインプラント治療を予定している場合やブリッジなどの補綴治療を予定している場合でも土台となる骨や歯肉の形態を良好に保つことは、その後の治療の成功率や見た目の仕上がりに大きく影響します。 抜歯後に骨が失われるとどうなる? 歯を支えていた歯槽骨は、歯を失うことで刺激がなくなり、吸収(痩せる)が始まります。特に歯根の周りにある薄い骨(唇側骨板)は吸収が早く、抜歯後半年ほどで歯槽堤の幅や高さが大きく減少するといわれています。 骨や歯肉が大きく失われると、次のような問題につながることがあります。 インプラントを理想的な位置・角度で埋入できなくなる インプラント治療時に別途、骨造成(GBR)や骨移植が必要になり、治療期間・費用・身体的負担が増える 歯茎のラインが下がり、前歯部では歯と歯の間に隙間ができるなど審美的な問題が生じる可能性がある こうしたリスクをできるだけ抑えるために、当院では抜歯と同時にリッジプリザベーションを行うことに力を入れています。 リッジプリザベーションのメリット 抜歯後の骨吸収量を抑え、骨のボリュームを維持しやすい 将来インプラント治療を行う際、追加の骨造成が不要になる、または処置の規模を小さくできる可能性がある 歯肉の形態を保ちやすく、審美性の維持につながる 治療全体の期間短縮や、外科処置の回数軽減が期待できる ブリッジ・入れ歯など他の補綴治療にも良好な骨状態・歯肉の状態を維持できる 治療の流れ 診査・診断レントゲンや歯科用CTなどで骨の状態、歯根や周囲組織の状態を確認し、抜歯の必要性とリッジプリザベーションの適応を判断します。 抜歯周囲の骨や歯肉をできるだけ傷つけないよう配慮しながら、低侵襲に抜歯を行います。 抜歯窩の清掃(搔爬)感染組織や肉芽組織を取り除き、抜歯窩を清潔な状態に整えます。 骨移植材の填入人工骨や骨補填材を抜歯窩に填入し、骨の高さ・幅を保つための土台をつくります。 メンブレン(遮蔽膜)の設置必要に応じて、歯肉組織の侵入を防ぎ骨の再生を促すための膜を設置します。 縫合創部を縫合し、移植材が安定するよう保護します。 治癒期間の経過観察術後1週間ほどで抜糸を行い、その後4〜6ヶ月程度かけて骨の治癒・成熟を待ちます。 次の治療へ治癒状態をCTなどで確認したうえで、インプラント埋入や補綴治療へと進みます。 症例紹介 実際に当院でリッジプリザベーションを行った症例をご紹介します。 実際の症例 ①術前のレントゲン画像 ②術前の口腔内写真 ③術後1カ月メンブレン除去前 ④術後1カ月メンブレン除去後 ⑤埋入前 リッジプリザベーションの効果で十分な骨幅が維持できています。 ⑥インプラント埋入 理想的な位置にインプラント埋入が行えています。 部位 右下6 主訴・経緯 虫歯の進行により歯根が破折し、保存が困難と診断し抜歯を行いました 使用材料 Bio-oss、非吸収性メンブレン 治癒期間 術後4ヶ月でインプラント一次手術 経過 良好な骨の獲得を認め、追加の骨造成を行うことなくインプラント埋入が可能となりました 症例の解説 抜歯後、抜歯窩にBio-ossを填入し、非吸収性メンブレンで被覆したうえで縫合しました。術後経過は良好で、感染などの合併症なく経過し、術後1カ月で非吸収性メンブレンを除去。良好な歯肉軟組織の治癒を認めました。 術後7ヶ月の時点でCT上、十分な骨のボリュームが獲得されていることを確認したため、インプラントの一次手術に進みました。 リッジプリザベーションのリスク・注意点 すべての抜歯窩に適応となるわけではなく、感染の程度や骨欠損の大きさ、全身状態によっては適応外となる場合があります 移植した骨補填材が生着しない、吸収されてしまう可能性があります 喫煙や糖尿病などの全身疾患は、治癒成果に影響を与えることがあります まれに感染、腫脹、疼痛などの合併症が生じる場合があります 自由診療となるため、事前に歯科医師から十分な説明を受けたうえで治療を受けることが大切です 治療期間・費用の目安 治癒期間の目安 約4〜6ヶ月(症例により異なります) 費用の目安 88,000円~(使用する材料やメンブレンの有無により変動します) 保険適用 原則として保険適用外(自由診療)となります 正確な費用は、レントゲン・CTによる診査後にお見積りいたします。 まとめ リッジプリザベーションは、抜歯後の歯槽骨や歯肉の吸収を抑え、将来のインプラント治療や補綴治療をスムーズに行うための重要な処置です。 すべての抜歯症例に必要というわけではありませんが、特に前歯部など審美性が重視される部位や、将来インプラントを検討している場合には有効な選択肢となります。 抜歯を検討されている方、抜歯後の治療方針にご不安がある方は、お早めに歯科医師にご相談ください。 抜歯後の骨の状態やインプラント治療について気になることがございましたら、お気軽に当院までご相談ください。 よくある質問 Q.リッジプリザベーションは痛みますか? A.抜歯と同様に局所麻酔を行ったうえで処置しますので、処置中の痛みはほとんどありません。術後数日は腫れや痛みが出ることがありますが、多くの場合、鎮痛剤でコントロールできる範囲です。 Q.保険は適用されますか? A.現時点では自由診療となり、保険は適用されません。費用については事前にご説明したうえで治療を進めます。 Q.すべての抜歯に必要ですか? A.必ずしもすべての方に必要というわけではありません。抜歯部位や骨の状態、その後の治療計画(インプラントの予定の有無など)によって適応を判断します。 Q.骨造成(GBR)とは何が違うのですか? A.リッジプリザベーションは抜歯と同時に行い骨吸収を「予防」する処置であるのに対し、GBR(骨誘導再生法)はすでに骨が不足している部位に、後から骨を「再生・増生」させる処置です。リッジプリザベーションを行うことで、将来のGBRが不要になる、または規模を縮小できる可能性があります。 Q.治療後、すぐにインプラントを入れられますか? A.骨が安定するまで、一般的には4〜6ヶ月程度の治癒期間を設けてからインプラント治療に進みます。期間は症例によって異なります。

2026.07.28

院内セミナーレポート|歯科衛生士向けSRP研修を実施しました

先日、当院では歯科衛生士を対象としたスケーリング・ルートプレーニング(SRP)の院内セミナーを開催しました。 歯周治療における最重要処置のひとつであるSRPについて、基礎から技術的なポイントまでを改めて学び直す機会となりました。本記事では、そのセミナーの内容をご紹介します。 歯周病とは何か見えない場所で進む病気 歯周病は、歯を支える歯周組織(歯肉・歯槽骨・歯根膜・セメント質)に生じる慢性感染症です。原因はプラーク(歯垢)中の細菌ですが、厄介なのは初期段階ではほとんど自覚症状がなく、患者さん自身が気づきにくい点にあります。 細菌が歯と歯肉の境目(歯肉溝)に入り込み、炎症が持続すると歯と歯肉の境目に「歯周ポケット」が形成されます。歯周ポケットが深くなるほど嫌気性菌が定着しやすくなり、歯槽骨の吸収が進んで最終的には歯の喪失につながります。 さらに近年の研究では、歯周病が糖尿病・心疾患・低体重児出産などの全身疾患とも深く関わることが徐々に明らかになっており、口腔内の健康管理は全身の健康に直結すると言っても過言ではありません。 歯周治療の流れSRPはどこに位置づけられるか 歯周治療のおおまかな流れ 歯周基本治療 歯周外科治療 メインテナンス 歯周基本治療の核となるのが、患者さん自身のブラッシング指導(口腔衛生指導)と、歯科医療者によるスケーリング・ルートプレーニング(SRP)です。 スケーリングとは 主に歯肉縁上の歯石や沈着物を除去する処置を指します。ルートプレーニングとは歯肉の中の歯根面に付着した歯石などを除去し、歯肉の炎症を取り除いて再付着を促す治療です。この二つを合わせてSRPと呼びます。 外科処置に先立って行われる非外科的治療であり、多くの症例でSRPだけでも歯周組織の大幅な改善が期待できます。 炎症のコントロール・ポケットの減少・骨吸収の抑制という観点から、SRPは歯周治療の根幹を担う処置です。 なぜSRPは難しいのか—歯の形態が生む複雑さ SRPが技術的に難しい最大の理由は、「術者の器具が届きにくい、見えない場所を器具で操作しなければならない」という点にあります。そしてその難しさを倍増させるのが、歯根の複雑な解剖学的形態です。 根面の湾曲 歯根は単純な円柱ではなく、近遠心方向・頬舌方向に複雑に湾曲しています。そのため、器具を当てる角度を誤るとデブライドメントが不完全になります。 根間中隔・分岐部 上顎大臼歯は3根(近心頬側・遠心頬側・口蓋側)、下顎大臼歯は2根を持ちます。歯根分岐部の形態は複雑で、通常のキュレットが届きにくい凹面や陥凹が多数あります。 根面の陥凹と溝 上顎第一小臼歯の近心面にはCEJ付近から根面にかけて陥凹があり、ここにはプラークや歯石が蓄積しやすく見落としの多い部位です。 これらの解剖学的特徴を熟知した上で、各歯・各部位に適したキュレット(グレーシーキュレットやユニバーサルキュレット)を使い分け、適切なシャンクの角度・術圧・ストロークの方向を選択することが求められます。 キュレットの刃の向きを根面に正確に適合させること、手指の支点(フィンガーレスト)を安定させながら繊細なストロークを行うこと——これらを狭く視野の確保しにくい口腔内でリアルタイムに実践するには、相当の経験と感覚的なトレーニングが必要です。 セミナーを通じて 今回のセミナーでは、歯の模型を用いたハンズオン練習も行い、各自がキュレットの動かし方、ポジショニングを確認しました。 「わかっているつもりでも、改めて根面の複雑さを実感した」「適切な器具の動かし方、ポジショニングを見直すよい機会になった」といった声が聞かれ、実践的な学びの場となりました。 SRPは地味に見えて、歯周治療の予後を大きく左右する精密な技術です。当院では引き続き定期的な院内研修を通じてスタッフの技術向上に努め、患者さまにより質の高い歯周治療を提供してまいります。 お気軽にご相談ください 歯周病や歯のクリーニングについてご不明な点がございましたら、お気軽にスタッフまでお声がけください。定期的なメインテナンスで歯とお口の環境を守りましょう。 歯磨きをしていると歯肉から血が出てくる、咬むと痛い、歯がぐらぐらするなどお口の中でお困りごとがございましたら当院までご連絡ください。皆様のご来院をお待ちしております。 WEB予約

2026.04.21

根管治療とは?歯科での治療内容・費用・痛みまで徹底解説!

「歯の痛みがひどくて歯医者に行ったら“根管治療”と言われた…」そんな経験はありませんか?根管治療は、歯の神経や根の部分に問題が生じた際に行われる重要な治療法です。 この記事では、根管治療の意味、流れ、費用、痛み、治療後の注意点などを分かりやすく解説します。 根管治療とは? 根管治療(こんかんちりょう)は、虫歯が進行して歯の神経(歯髄)まで達した際に、感染した神経や組織を除去し、根管内を清掃・消毒して再感染を防ぐ治療法です。 「歯の根の治療」とも呼ばれ、歯を抜かずに保存するための最後の手段とされています。 根管治療が必要なケース 根管治療が必要となる主なケースは以下の通りです。 重度の虫歯 虫歯が進行し、歯髄に達した場合。 歯の根に膿がたまっている 根尖性歯周炎などで膿がたまっている場合。 歯を残すための最後の手段 抜歯を避け、歯を保存するために行われる場合。 歯の痛みや腫れ 歯の内部に感染が広がり、痛みや腫れが生じた場合。 根管治療の流れ 根管治療は以下のステップで行われます。 診査・診断レントゲンやCT撮影を行い、歯の状態を確認します。 麻酔治療中の痛みを抑えるため、局所麻酔を行います。 感染組織の除去感染した組織や神経を除去します。 根管内の清掃・消毒専用の器具や薬剤を使用して、根管内を徹底的に清掃・消毒します。 根管充填清掃後、根管内に薬剤を充填し、密閉します。 最終的な修復クラウンやインレーなどで歯を補強し、機能を回復させます。 当院では最新の技術・設備として、マイクロスコープやCT、ニッケルチタンファイルなどを使用することで、より精密な治療が可能となっています。 治療期間・回数・費用の目安 治療回数 通常2〜4回(症状により異なる) 治療期間 2〜6週間程度 費用の目安 保険診療:約数千円〜1万円前後自費診療:約4万円~10万円前後、部位や歯の状態によって異なります 当院ではより精度の高い根管治療として自費治療を行っております。再発のリスクを可能な限り排除し長期にわたり機能できる歯の状態を目指します。治療内容や費用については、担当医までご相談下さい。 根管治療の痛みについて 根管治療後に数日間、鈍痛や違和感を感じることがあります。これは、治療による炎症反応や組織の回復過程で生じるもので、術後2~3日がピークで通常は時間の経過とともに改善します。 痛みが強い場合や長引く場合は、担当医までご相談下さい。 治療後の注意点とメンテナンス 根管治療後の歯を長持ちさせるためには、以下の点に注意が必要です。 仮封や最終的な修復物が外れないよう注意 治療中や治療後の歯は歯質が薄いために脆くなっているため、硬いものを噛むのは避けましょう 定期的な通院と歯科検診 治療後の経過を確認し、再感染を防ぐために定期的なチェックが重要です 正しいブラッシングと予防ケア 口腔内を清潔に保ち、再発を防ぎましょう また、治療後の歯は神経がないため、虫歯になっても痛みを感じにくくなります。そのため、定期的な検診で早期発見・早期治療を心がけましょう。 よくある質問 根管治療で歯はどれくらいもちますか? 適切な治療とその後のケアを行えば、長期間歯を維持することが可能です。しかし、再感染や破折のリスクもあるため、定期的なメンテナンスが重要となります。 根管治療を途中でやめるとどうなりますか? 治療を中断すると、感染が再発し、痛みや腫れが生じる可能性があります。最悪の場合、抜歯が必要になることもあります。治療は最後まで受けるようにしましょう。 根管治療は保険適用されますか? 基本的な根管治療は保険適用されます。ただし、マイクロスコープやCTなどを用いた精密な根管治療を希望する場合や、特殊な材料を使用する場合には自費診療となることがあります。精密な根管治療をご希望の際には事前に担当医までご相談下さい。 まとめ 根管治療は、歯を抜かずに保存するための重要な治療法です。最新の技術や設備を活用することで、治療の成功率が向上し、再発のリスクを減らすことができます。治療後のケアや定期的なメンテナンスも、歯を長持ちさせるためには欠かせません。不安や疑問がある場合は、担当医までご相談下さい。 この記事が、根管治療についての理解を深める一助となれば幸いです。ご自身の歯を大切にし、健康な口腔内環境を維持していきましょう。 WEB予約

2025.05.17

矯正治療は一般歯科でも可能?専門医院との違いやメリットを徹底解説

矯正治療というと「専門の矯正歯科でしか受けられないのでは?」と思われる方も多いのではないでしょうか。実は、近年では一般歯科でも矯正治療を受けられるケースが増えており、多くの患者様にとって通いやすく、治療が身近なものになっています。 本記事では、矯正治療の基本から、一般歯科で受けるメリット、専門医院との違い、医院選びのポイントまでをわかりやすく解説します。 矯正治療とは?基本的な治療法とその目的 矯正治療とは、歯並びやかみ合わせの乱れを正しく整える歯科治療の一つです。見た目の美しさだけでなく、しっかり噛める機能的な口腔環境をつくること、患者様ご自身でも快適にセルフケアがしやすい口腔環境を整えることを目的としています。 代表的な矯正治療の方法には以下のようなものがあります ワイヤー矯正 歯の表面にブラケットを装着し、ワイヤーで歯を少しずつ動かしていく方法で最も一般的です。当院ではプラスチックブラケットとメタルワイヤー、セラミックブラケットと審美ワイヤーの2種類をご用意しております。 マウスピース矯正(例:インビザライン) 透明な取り外し可能なマウスピースを使って歯を動かす治療です。見た目に目立ちにくいのが特徴です。 矯正治療により、セルフケアのしやすい口腔環境に整えることで虫歯や歯周病のリスクを下げたり、発音の改善、顎の負担軽減など、健康面でも多くのメリットがあります。 一般歯科医院で矯正治療を受けるメリット 一般歯科医院で矯正治療を受けることには、次のような利点があります。 総合的な口腔ケアが可能 矯正治療中にも虫歯や歯周病のリスクはあります。 当院では定期検診やクリーニングと並行して矯正治療ができるため、お口全体の健康を保ちやすくなります。 通いやすさ・予約の取りやすさ 地域に根ざした一般歯科医院は通院しやすく、予約も柔軟に対応してくれることが多いです。 お仕事や学校の都合に合わせた通院スケジュールが立てやすくなります。 費用面での柔軟な対応 当院では、矯正治療の費用をクレジットカード払いやデンタルローンなどに対応しており、治療開始するにあたり費用についても相談しやすいのが特徴です。 ご家族で通える安心感 同じ医院でお子様からご年配の方まで幅広く診療を受けられるため、家族全員の通院を一本化できるのも大きなメリットです。 専門医院との違いと選び方のポイント 矯正専門医院は、矯正治療に特化しており、複雑な症例や難症例にも対応できる高度な技術と設備を備えています。また、生まれつき大人の歯の本数が少ない場合には保険診療にて矯正治療も行うことが可能となります。 そのような場合には大学病院の矯正歯科と連携を取りながら治療に取り組んでいきます。 当院では矯正治療を専門に行う歯科医師が在籍しており、軽度〜中等度の症例には十分対応可能です。以下のような視点で、どちらを選ぶかを判断するとよいかと思います。 症例の難易度 複雑な歯並びや顎の問題がある場合は、専門医院を勧める場合があります。 通いやすさと相談のしやすさ 継続的に通う必要があるため、生活圏内の歯科医院が便利です。 総合診療との併用 虫歯や歯周病の治療、予防管理も一緒に進めたい場合には、一般歯科医院での矯正治療が適しています。 当院での矯正治療の流れと特徴 当院では、患者様一人ひとりのお口の状態やライフスタイルに合わせた矯正治療を行っています。 初診カウンセリングまずはお悩みやご希望を丁寧にお伺いし、必要に応じてレントゲンや口腔内スキャンを行います。 治療計画のご説明診断結果をもとに、使用する装置、治療期間、費用などをわかりやすくご説明いたします。 治療開始治療計画や治療費用などにご納得いただいたうえで治療を開始します。月1回程度の通院で、歯の動きやお口の状態をチェックします。 治療完了・保定期間歯並びが整ったら、後戻りを防ぐための保定装置(リテーナー)を装着し、定期的なチェックを行います。 よくある質問 矯正治療は痛いですか? 装置をつけた直後や調整後に一時的な痛みを感じることがありますが、多くの場合数日で落ち着きます。 食事は制限されますか? ワイヤー矯正では硬いものや粘着性のある食べ物は控えるのが望ましいです。マウスピース矯正では取り外して食事できるので制限が少ないです。 治療期間はどれくらいですか? 症例にもよりますが、軽度の場合は6ヶ月〜1年、標準的には1年半〜2年が目安です。但し、ご年齢や歯列、骨格、矯正治療のゴールによって異なりますので詳しくお知りになりたい方は矯正相談までお越しください。 毎月第1土曜日、第3土曜日に矯正相談を行っておりますのでご連絡をお待ちしております。 まとめ:一般歯科医院での矯正治療はこんな方におすすめ 虫歯や歯周病の管理も一緒にしたい方 通院のしやすさを重視したい方 家族で同じ医院に通いたい方 専門的な相談を身近な環境で受けたい方 矯正治療は、見た目を美しく整えるだけでなく、お口の健康全体に大きく関わる大切な治療です。ご自身に合った医院と治療方法を選び、納得のいく治療を受けましょう。 当院では、無料相談も行っておりますので、まずはお気軽にご相談ください。 電話で申し込む

2025.05.09

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