院内セミナーレポート|歯科衛生士向けSRP研修を実施しました
先日、当院では歯科衛生士を対象としたスケーリング・ルートプレーニング(SRP)の院内セミナーを開催しました。 歯周治療における最重要処置のひとつであるSRPについて、基礎から技術的なポイントまでを改めて学び直す機会となりました。本記事では、そのセミナーの内容をご紹介します。 歯周病とは何か見えない場所で進む病気 歯周病は、歯を支える歯周組織(歯肉・歯槽骨・歯根膜・セメント質)に生じる慢性感染症です。原因はプラーク(歯垢)中の細菌ですが、厄介なのは初期段階ではほとんど自覚症状がなく、患者さん自身が気づきにくい点にあります。 細菌が歯と歯肉の境目(歯肉溝)に入り込み、炎症が持続すると歯と歯肉の境目に「歯周ポケット」が形成されます。歯周ポケットが深くなるほど嫌気性菌が定着しやすくなり、歯槽骨の吸収が進んで最終的には歯の喪失につながります。 さらに近年の研究では、歯周病が糖尿病・心疾患・低体重児出産などの全身疾患とも深く関わることが徐々に明らかになっており、口腔内の健康管理は全身の健康に直結すると言っても過言ではありません。 歯周治療の流れSRPはどこに位置づけられるか 歯周治療のおおまかな流れ 歯周基本治療 歯周外科治療 メインテナンス 歯周基本治療の核となるのが、患者さん自身のブラッシング指導(口腔衛生指導)と、歯科医療者によるスケーリング・ルートプレーニング(SRP)です。 スケーリングとは 主に歯肉縁上の歯石や沈着物を除去する処置を指します。ルートプレーニングとは歯肉の中の歯根面に付着した歯石などを除去し、歯肉の炎症を取り除いて再付着を促す治療です。この二つを合わせてSRPと呼びます。 外科処置に先立って行われる非外科的治療であり、多くの症例でSRPだけでも歯周組織の大幅な改善が期待できます。 炎症のコントロール・ポケットの減少・骨吸収の抑制という観点から、SRPは歯周治療の根幹を担う処置です。 なぜSRPは難しいのか—歯の形態が生む複雑さ SRPが技術的に難しい最大の理由は、「術者の器具が届きにくい、見えない場所を器具で操作しなければならない」という点にあります。そしてその難しさを倍増させるのが、歯根の複雑な解剖学的形態です。 根面の湾曲 歯根は単純な円柱ではなく、近遠心方向・頬舌方向に複雑に湾曲しています。そのため、器具を当てる角度を誤るとデブライドメントが不完全になります。 根間中隔・分岐部 上顎大臼歯は3根(近心頬側・遠心頬側・口蓋側)、下顎大臼歯は2根を持ちます。歯根分岐部の形態は複雑で、通常のキュレットが届きにくい凹面や陥凹が多数あります。 根面の陥凹と溝 上顎第一小臼歯の近心面にはCEJ付近から根面にかけて陥凹があり、ここにはプラークや歯石が蓄積しやすく見落としの多い部位です。 これらの解剖学的特徴を熟知した上で、各歯・各部位に適したキュレット(グレーシーキュレットやユニバーサルキュレット)を使い分け、適切なシャンクの角度・術圧・ストロークの方向を選択することが求められます。 キュレットの刃の向きを根面に正確に適合させること、手指の支点(フィンガーレスト)を安定させながら繊細なストロークを行うこと——これらを狭く視野の確保しにくい口腔内でリアルタイムに実践するには、相当の経験と感覚的なトレーニングが必要です。 セミナーを通じて 今回のセミナーでは、歯の模型を用いたハンズオン練習も行い、各自がキュレットの動かし方、ポジショニングを確認しました。 「わかっているつもりでも、改めて根面の複雑さを実感した」「適切な器具の動かし方、ポジショニングを見直すよい機会になった」といった声が聞かれ、実践的な学びの場となりました。 SRPは地味に見えて、歯周治療の予後を大きく左右する精密な技術です。当院では引き続き定期的な院内研修を通じてスタッフの技術向上に努め、患者さまにより質の高い歯周治療を提供してまいります。 お気軽にご相談ください 歯周病や歯のクリーニングについてご不明な点がございましたら、お気軽にスタッフまでお声がけください。定期的なメインテナンスで歯とお口の環境を守りましょう。 歯磨きをしていると歯肉から血が出てくる、咬むと痛い、歯がぐらぐらするなどお口の中でお困りごとがございましたら当院までご連絡ください。皆様のご来院をお待ちしております。 WEB予約
2026.04.21



