2026.10.01

上顎前歯のすき間(正中離開)をダイレクトボンディングで閉じた症例|歯をほとんど削らずに整える治療の実際

こんにちは。南仙台どうどう歯科クリニックです。

今回は、上の前歯の真ん中にすき間がある「正中離開(せいちゅうりかい)」を、ダイレクトボンディングにて1日で治療した症例をご紹介します。

正中離開の原因や、矯正・ラミネートベニアなど治療法ごとの比較については、以前の記事「上顎前歯部の正中離開(すきっ歯)とは?原因・治療法・放置のリスクを歯科医が解説」で詳しくまとめています。

本記事ではその続編として、「実際にどのような診査を行い、どのような手順ですき間を閉じるのか」という治療の中身と、治療後に長くきれいな状態を保つための注意事項に焦点を当ててお話しします。

今回の症例の概要

今回の症例の概要

主訴 前歯のすき間が気になる
部位 上顎中切歯(右上1・左上1)間
診査所見 う蝕なし/歯周組織は健康/上唇小帯の付着異常なし
治療法 ダイレクトボンディングによる離開閉鎖
治療回数・期間 診査1回+治療1回(約90分)
費用 77,000円(税込)※自費診療
リスク・副作用 変色・破折・脱離の可能性があり、定期的な研磨・補修が必要になる場合があります

治療前の診査と
「すき間の配分」の計画

治療前の診査と「すき間の配分」の計画

ダイレクトボンディングは、歯の表面にコンポジットレジン(歯科用の白い樹脂)を直接盛り足して形を整える治療です。盛り足すこと自体は難しくありませんが、「どこに・どれだけ足すか」を誤ると、前歯が横に広く大きく見えてしまいます。そのため治療前の計画が仕上がりを大きく左右します。

すき間の幅と歯の大きさを測る

ノギスで離開幅と左右中切歯の幅・長さを計測します。一般に上の前歯は、幅が長さの約75~85%の範囲に収まると自然に見えるといわれています。すき間を片側の歯だけで埋めるとこの比率が崩れるため、原則として左右の歯に均等に振り分け、正中(顔の中心線)がずれないように設計します。

噛み合わせと歯肉のチェック

前歯で噛んだときや、あごを前に出したときに、盛り足す部分に強い力が当たらないかを確認します。強く当たる場合は形態の工夫が必要です。また、歯周病があるとすき間が再び広がることがあるため、歯肉の状態も事前に確認します。

色合わせ(シェードテイキング)

歯は乾燥すると白っぽく変化するため、治療の最初、歯が潤っている状態でシェードガイドを使って色を選びます。前歯は根元・中央・先端で色や透明感が異なるため、複数の色のレジンを使い分けます。

治療の実際(当日の流れ)

治療の実際(当日の流れ)

  1. 歯面の清掃と処理
    歯の表面の汚れを落とし、歯の表面を一層削合します。エナメル質にリン酸エッチング材、続いてボンディング材を塗布して光で固めます。
  2. マトリックス(隔壁)の装着
    前歯用の透明なシートを歯と歯の間に入れ、歯ぐきの際からなめらかに膨らむ自然な形をつくります。
    この形づくりが不十分だと、歯と歯の間の根元に黒い三角形のすき間(ブラックトライアングル)ができたり、汚れがたまりやすくなったりします。
  3. レジンの積層充填
    内側には象牙質に近い色、外側には透明感のあるエナメル色のレジンを少しずつ重ね、そのつど光を当てて硬化させていきます。
  4. 形態修正・研磨
    歯の表面の細かな凹凸や光の反射の仕方まで天然歯に近づけるよう、専用の器具で段階的に研磨します。
  5. 噛み合わせの確認
    最後に咬合紙で噛み合わせを確認し、強く当たる部分があれば調整して終了です。

実際の症例写真

こちらが治療前と治療後の写真の比較になります。歯の形態と歯軸の向き、歯列方向が一致しておらず非常に難しい症例でしたが、歯を大きく削ることなく治療目的を達成できました。

術前正面

術前正面

術後正面

術後正面

左右の歯に均等にレジンを盛り足し、歯の幅と長さのバランスを保ったまますき間を閉鎖しました。歯を大きく削ることなく、1回の治療で完了しています。

術後の注意事項、
きれいな状態を長く保つために

術後の注意事項、きれいな状態を長く保つために

コンポジットレジンは天然の歯やセラミックに比べると、着色や欠けが起こりやすい材料です。以下の点に気をつけていただくことで、より長くきれいな状態を保つことができます。

治療当日~数日間

  • コーヒー・紅茶・赤ワイン・カレーなど色の濃い飲食物や喫煙は、治療直後はなるべく控えてください。
  • 噛んだときに違和感や高さの違和感があれば、我慢せずにご連絡ください。

日常生活で気をつけること

  • 前歯で硬いもの(せんべい・氷・骨付き肉など)を直接かみ切るのは避け、奥歯で噛むようにしましょう。
  • 爪を噛む、ペンをくわえるなどの癖は、欠けやはがれの原因になります。
  • 歯ぎしり・食いしばりがある方は、就寝時のマウスピース(ナイトガード)の使用をおすすめします。
  • 歯と歯の間はデンタルフロスで清掃してください。引き抜く際は横方向にそっと抜くと安心です。

定期的なメンテナンス

  • 定期検診で、表面の研磨(リポリッシュ)を行うとツヤと色調を保ちやすくなります。
  • レジンはホワイトニングでは白くなりません。将来ホワイトニングをご希望の場合は、先にご相談ください。
  • 万一欠けたり、はがれたりした場合も、多くは部分的な補修が可能です。早めにご来院ください。

まとめ

正中離開のダイレクトボンディングは、歯を大きく削らず、多くの場合1回の来院ですき間を閉じられる治療です。一方で、仕上がりの自然さは「すき間をどう配分するか」という事前の計画と、防湿・形づくり・研磨といった一つひとつの工程の丁寧さに左右されます。

また、治療後の過ごし方や定期的なメンテナンスによって、きれいな状態を保てる期間も変わってきます。前歯のすき間が気になる方は、まずはお気軽に南仙台どうどう歯科クリニックへご相談ください。

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