2026.07.28

リッジプリザベーションとは? 抜歯後の骨吸収を防ぐ治療法を症例写真つきで解説

「歯を抜いたあと、そのままにしておくと歯茎や骨が痩せてしまう」という話を聞いたことはありませんか。抜歯後の歯槽骨は、放置すると数か月のうちに大きく吸収し、将来インプラント治療を検討する際に骨の量が不足してしまうことがあります。

この記事では、抜歯後の骨吸収をできるだけ抑える「リッジプリザベーション(歯槽堤保存術)」について、治療の目的やメリット、実際の治療の流れを、当院で行った症例写真とともに分かりやすく解説します。

リッジプリザベーションとは

リッジプリザベーションとは

リッジプリザベーション(Ridge Preservation)とは、抜歯した直後の抜歯窩(歯を抜いたあとの穴)に人工骨補填材や骨移植材料を填入し、必要に応じてコラーゲンメンブレン(遮蔽膜)で覆うことで、歯槽骨や歯肉の吸収・退縮をできるだけ抑え、骨の形態を保存する外科処置です。

「歯槽堤保存術」と呼ばれることもあります。

将来的にインプラント治療を予定している場合やブリッジなどの補綴治療を予定している場合でも土台となる骨や歯肉の形態を良好に保つことは、その後の治療の成功率や見た目の仕上がりに大きく影響します。

抜歯後に骨が
失われるとどうなる?

抜歯後に骨が失われるとどうなる?

歯を支えていた歯槽骨は、歯を失うことで刺激がなくなり、吸収(痩せる)が始まります。特に歯根の周りにある薄い骨(唇側骨板)は吸収が早く、抜歯後半年ほどで歯槽堤の幅や高さが大きく減少するといわれています。

骨や歯肉が大きく失われると、次のような問題につながることがあります。

  • インプラントを理想的な位置・角度で埋入できなくなる
  • インプラント治療時に別途、骨造成(GBR)や骨移植が必要になり、治療期間・費用・身体的負担が増える
  • 歯茎のラインが下がり、前歯部では歯と歯の間に隙間ができるなど審美的な問題が生じる可能性がある

こうしたリスクをできるだけ抑えるために、当院では抜歯と同時にリッジプリザベーションを行うことに力を入れています。

リッジプリザベーションのメリット

  • 抜歯後の骨吸収量を抑え、骨のボリュームを維持しやすい
  • 将来インプラント治療を行う際、追加の骨造成が不要になる、または処置の規模を小さくできる可能性がある
  • 歯肉の形態を保ちやすく、審美性の維持につながる
  • 治療全体の期間短縮や、外科処置の回数軽減が期待できる
  • ブリッジ・入れ歯など他の補綴治療にも良好な骨状態・歯肉の状態を維持できる

治療の流れ

治療の流れ

  1. 診査・診断レントゲンや歯科用CTなどで骨の状態、歯根や周囲組織の状態を確認し、抜歯の必要性とリッジプリザベーションの適応を判断します。
  2. 抜歯周囲の骨や歯肉をできるだけ傷つけないよう配慮しながら、低侵襲に抜歯を行います。
  3. 抜歯窩の清掃(搔爬)感染組織や肉芽組織を取り除き、抜歯窩を清潔な状態に整えます。
  4. 骨移植材の填入人工骨や骨補填材を抜歯窩に填入し、骨の高さ・幅を保つための土台をつくります。
  5. メンブレン(遮蔽膜)の設置必要に応じて、歯肉組織の侵入を防ぎ骨の再生を促すための膜を設置します。
  6. 縫合創部を縫合し、移植材が安定するよう保護します。
  7. 治癒期間の経過観察術後1週間ほどで抜糸を行い、その後4〜6ヶ月程度かけて骨の治癒・成熟を待ちます。
  8. 次の治療へ治癒状態をCTなどで確認したうえで、インプラント埋入や補綴治療へと進みます。

症例紹介

実際に当院でリッジプリザベーションを行った症例をご紹介します。

実際の症例

①術前のレントゲン画像

①術前のレントゲン画像

②術前の口腔内写真

②術前の口腔内写真

③術後1カ月メンブレン除去前

③術後1カ月メンブレン除去前

④術後1カ月メンブレン除去後

④術後1カ月メンブレン除去後

⑤埋入前

⑤埋入前

リッジプリザベーションの効果で十分な骨幅が維持できています。

⑥インプラント埋入

⑥インプラント埋入

理想的な位置にインプラント埋入が行えています。

部位 右下6
主訴・経緯 虫歯の進行により歯根が破折し、保存が困難と診断し抜歯を行いました
使用材料 Bio-oss、非吸収性メンブレン
治癒期間 術後4ヶ月でインプラント一次手術
経過 良好な骨の獲得を認め、追加の骨造成を行うことなくインプラント埋入が可能となりました

症例の解説

抜歯後、抜歯窩にBio-ossを填入し、非吸収性メンブレンで被覆したうえで縫合しました。術後経過は良好で、感染などの合併症なく経過し、術後1カ月で非吸収性メンブレンを除去。良好な歯肉軟組織の治癒を認めました。

術後7ヶ月の時点でCT上、十分な骨のボリュームが獲得されていることを確認したため、インプラントの一次手術に進みました。

リッジプリザベーションの
リスク・注意点

リッジプリザベーションのリスク・注意点

  1. すべての抜歯窩に適応となるわけではなく、感染の程度や骨欠損の大きさ、全身状態によっては適応外となる場合があります
  2. 移植した骨補填材が生着しない、吸収されてしまう可能性があります
  3. 喫煙や糖尿病などの全身疾患は、治癒成果に影響を与えることがあります
  4. まれに感染、腫脹、疼痛などの合併症が生じる場合があります
  5. 自由診療となるため、事前に歯科医師から十分な説明を受けたうえで治療を受けることが大切です

治療期間・費用の目安

治癒期間の目安 約4〜6ヶ月(症例により異なります)
費用の目安 88,000円~(使用する材料やメンブレンの有無により変動します)
保険適用 原則として保険適用外(自由診療)となります

正確な費用は、レントゲン・CTによる診査後にお見積りいたします。

まとめ

まとめ

リッジプリザベーションは、抜歯後の歯槽骨や歯肉の吸収を抑え、将来のインプラント治療や補綴治療をスムーズに行うための重要な処置です。

すべての抜歯症例に必要というわけではありませんが、特に前歯部など審美性が重視される部位や、将来インプラントを検討している場合には有効な選択肢となります。

抜歯を検討されている方、抜歯後の治療方針にご不安がある方は、お早めに歯科医師にご相談ください。

抜歯後の骨の状態やインプラント治療について気になることがございましたら、お気軽に当院までご相談ください。

よくある質問

Q.リッジプリザベーションは痛みますか?

A.抜歯と同様に局所麻酔を行ったうえで処置しますので、処置中の痛みはほとんどありません。術後数日は腫れや痛みが出ることがありますが、多くの場合、鎮痛剤でコントロールできる範囲です。

Q.保険は適用されますか?

A.現時点では自由診療となり、保険は適用されません。費用については事前にご説明したうえで治療を進めます。

Q.すべての抜歯に必要ですか?

A.必ずしもすべての方に必要というわけではありません。抜歯部位や骨の状態、その後の治療計画(インプラントの予定の有無など)によって適応を判断します。

Q.骨造成(GBR)とは何が違うのですか?

A.リッジプリザベーションは抜歯と同時に行い骨吸収を「予防」する処置であるのに対し、GBR(骨誘導再生法)はすでに骨が不足している部位に、後から骨を「再生・増生」させる処置です。リッジプリザベーションを行うことで、将来のGBRが不要になる、または規模を縮小できる可能性があります。

Q.治療後、すぐにインプラントを入れられますか?

A.骨が安定するまで、一般的には4〜6ヶ月程度の治癒期間を設けてからインプラント治療に進みます。期間は症例によって異なります。

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